インターン生”ドラゴン”の滞在記「人とつながるということ」

はじめに

今回私は、「清流の国ぎふ ふるさとワーキングホリデー」に参加させていただいた。

参加する以前は国家公務員を目指している私にとって、このふるさとワーホリは決して近道なものではなくむしろ遠回りしているように思えるかもしれないし、国家行政作用に携わろうとする上では意味のないことに思えるかもしれないと考えていた。

しかし、実際長いようで短い3週間を経験しその考えは全く持って論外な発想であり、論外であると気づいただけでも大きな収穫をしたと思えるほどであった。

というのも、参加する経緯がほかの参加者の能動的なものに比べ、受動的でありそこまで積極的に活動しようというものでもなかった。昨夏以降、多くの官僚の方々と話をしているうちにたどり着いたのがこのふるさとワーホリという制度。もともと総務省管轄の制度だったため、気になってはいたが私には全く関係のないものだと思っていた。

そんな矢先に総務省の官僚の方々がこの制度をお勧めしてくれた。「君は前のめりになりすぎているし、一回現場の雰囲気や問題点を見てくるべきだ。」と。

まだ官僚にもなったわけではないし、国家公務員試験に合格したわけでもない。なのになぜこんなことを言ってくるのか甚だ理解しがたかったが、公務員試験勉強にも息が詰まっていたし、気分転換程度にと思い参加させていただいた。

その結果分かったことが、いかに自分が頭でっかちで机上の空論をふかしていたのかということ。お勧めしてくれた官僚の言葉が身に染みてよくわかった。

さらに、人の本来あるべき形の温かさである。21年間、いわゆる都市部でしか生活してこなかったのである意味カルチャーショックを受けることもあったが、それはすなわち都市部への一極集中がもたらした最大の負の遺産とも思えるものであった。

現在当レポートを書いているのは埼玉に帰省して5日目であるが、すでに都市部の人の嫌な部分を多く目の当たりにし、「ここが白川村だったらな~」と多く思っている。

受け入れ先「山本屋」での学び

「山本屋には宇宙人が多く集まるよ。」山本屋を形容するにはまさにぴったりの言葉である。これは8月20日に喫茶落人でたまたまお会いした、花柳琴臣氏の言葉である。

私を3週間受け入れてくれた山本屋は夏はお蕎麦屋、冬は民宿をしているという外見ではあるが中身はまるで違った。多分野の人(琴臣氏流にいうと宇宙人)が多く出入りし、その人々を温かくつなげる場所、それが山本屋の素顔だと感じた。

三代目の山本桂諒さんと若女将山本愛子さんは常に新しいこと、やらなくてはならないことにアンテナを向けていて、人をつなげる行動力がすごいなと思った。ただの蕎麦屋じゃないと初日で思うほどであった。

私が自己紹介をする際に環境に興味がある旨を伝えると、環境に配慮した活動をしている方をどんどん紹介してくださり、私があこがれているセヴァンスズキ氏にあったことがある人にもつないでくれた。店をオフにしてまで行うワークショップでも方々から人が集まり、山本夫婦とこの店に集まる繋がりを実感しなんて素敵な空間なのだと感動した。

宇宙人が出入りするこの空間で3週間を過ごせて、私自身の視野も広がったし、私もそんな宇宙人の一員になれる日を願っている。

ふるさとワーホリという受け入れ側からしたら厄介な立場の学生をここまで面倒を見てくれて本当に感謝してもしきれないほどである。

ワーホリ生という立場上、他の学生との交流や文化学習もしなくてはならない中、休みの日程を柔軟に対応してくれたり、おすすめの観光スポットも教えていただいたりもした。なにより、職務中に常に気にかけていただいたことが本当にうれしく思えた。

もちろん仕事に妥協は一切なくストイックであることは言うまでもないが、少し空いた時間があればたくさん話してくれるし、話も聞いてもらえる。その時間が何よりも幸せだったのかもしれない。くだらない下世話な話から将来の相談まで何にでも付き合ってくれた。

3週間でいなくなる1ワーホリ生に対しこれほど愛情をもって対応してくれる職場はないと思う。自然と宇宙人が集まってくるのも納得ができる。本当に感謝している。

地域の方との交流

「隣の家の人は隣の家の人でいい」と今まではそのように思っていたし、そう思うのが当たり前であった。上述の通り、都市部でずっと暮らしていたために、知らない人に挨拶をすると不審がられるし、共通の話題がない限りは自ら話しかけるなど到底考えられなかった。

白川村についた初日に「村の人に会ったら挨拶してね」といわれ正直理解できなかったが、日を追うごとに見知ったかをも増えてきて挨拶することが楽しくなってきた。本来これが正常な人同士の関わりだとは思うが、私にはこれが欠落していてそれが分かった時悲しい気持ちになった。

それに伴って私は仕事終わりにシェアハウス前を流れる庄川にいくことを日課とした。川に浸って涼しむ目的もあるが、川に行く道中で誰かに会うし、川で釣りをしているおじさんも見かける。そのような人と出来る限り話をすることにした。

都会にいては決してできないことでそのゆったりとした時間の流れは非常に良い経験となった。また、せっかく白川まで来てくれているのだからと車で大白川温泉までドライブに連れていってくれたり、一緒に川釣りをしたりと至れり尽くせりなおもてなしをしてもらった。

最終日には各ワーホリ生の受け入れ事業者さんを筆頭に白川村役場の職員、地域の漁師の方まで集まりお酒の場を設けていただき3週間を象徴するような宴会も行われた。ついた当初はこのような全く知らない人同士で盃を交わすことなど想像もしなかったが、それがこのような場所に来た醍醐味なのだろうといま振り返ってはもの寂しく思うものである。

最後に

このふるさとワーホリを体験して思ったことは人が本来持つべき温かさである。

これは都市部にいては絶対感じることはできないし、これは日本人の良さでもあると思うので守らなくてはならないなと強く感じる。今回得られた人とのつながりを大切にしながら今後の学生生活を過ごしていきたいと思う。

最後になりましたが、受け入れ事業者の山本桂諒様、山本愛子様、山本屋スタッフ、様々なサポートをしてくださった柴原孝治様、前盛よもぎ様、ならびに関わっていただいたすべての方に感謝をこめて、結びとさせていただきます。

 

 


 

この記事を書いた人

鈴木 龍之介

立命館大学文学部3回生

インターン事業所 山本屋

滞在先 やまごや以上ほしぞら未満