先日9月1日(日) に面白く生きる合宿が開催されました。
3年目を迎える今回のテーマは「シゴト」。
自分の手で新たな仕事をつくり出しているヒト、ユニークな働き方をしているヒトなど、フィールドの異なる3人の講師をお招きしました。
【前半】講師はこの方々!
1人目は、ファシリテーターの古瀬正也さん。キーワードは #対話の場づくり #ワークショップデザイン #ファシリテーション など。

1988年生まれ、埼玉県出身。現在、妻と二人で鎌倉の海の近くに暮らす。大学2年の時、「ワールド・カフェ」という話し合いの手法に出合い、対話の場に興味を持つ。大学4年時には、ママチャリで日本一周しながら47都道府県でワールド・カフェを開催。2011年、駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部卒業。2013年、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修了。仕事依頼が増えてきたことから、在学中に「古瀬ワークショップデザイン事務所」を開業。人が集い、出会い、関わり合う場の設計(ワークショップ・デザイン)と当日の進行役(ファシリテーター)を担う。 これまでに中央省庁や行政、学校、企業、NPOなど様々な分野で400回以上のワークショップや研修を実施。独立7年目。最近では、心理療法やカウンセリングや精神分析の領域における「場の設定」や支援者の「在り様」から学びながら、ファシリテーションの現場に活かそうとしている。
2人目は、循環クリエイターの高山みちのぶさん。キーワードは #パラレルワーク #フリーランス #多足の草鞋 #2拠点生活 など。

1988年 大阪生まれ。高校卒業後、2007年に北海道大学へ進学しデータマイニングを専攻。 同大学院卒業後は大手広告代理店にてプランナー兼UI/UXデザイナー、外資系IT企業にて地域間での人材マッチングプラットフォームの立ち上げ、toC向けLegalTechスタートアップのCMO、イスラエルでの起業を経験し、現在は多足の草鞋を履き、継続的な循環モデルを生み出すことをミッションとした「循環クリエイター」として活動中。 メインはクリエイター向けのポートフォリオ作成サービスforiioのマーケティングマネージャー。また、クラウドファンディングサービスを提供するREADYFORや社会課題発見ツアーを提供するリディラバなどにも参画中。その他、地方自治体との共同事業、日本酒のマーケティング支援会社の代表、一般社団法人フリーランス協会の事務局、大学非常勤講師など。
3人目は、白川郷ヒト大学学長の柴原孝治さん。キーワードは #脱サラ #地方移住 #まちづくり #コミュニティデザイン #ソーシャル大学 など。

1979年生まれ、大阪出身。学生時代はやりたいことが特に見つからず、これから伸びていく分野で大学と学部を決めて、そのまま大学院まで進学。就職についても5年勤めたアパレルの道に進もうか悩むも最終的に諦め、これから伸びてく分野であった某携帯キャリアである大手通信会社の技術職の道を選ぶ。9年半勤め、管理職としての毎日に将来が何となく見えたことと子供の子育て環境が決め手となり、白川村地域おこし協力隊として、家族4人で白川村へ移住して6年目。34歳にして初めて自分のやりたいという意思で自らの人生と向き合えた気がしたと本人談。 協力隊時代に空き家改修を核に始めた一般社団法人ホワイエの代表と古民家を買取り、一部を自らリノベーションしたアオイロ・カフェの2足のわらじ生活。畑や薪割り、木工、ワイン作り、雪かきなどパソコンに1日中向き合う生活から解放され、穏やかな毎日の生活に感謝しながら、幸せを噛み締めている。村内をフィールドに白川郷ヒト大学の学長として「ありのままに生きれる社会」を目指し、自ら実践中。40歳を超え、身近にいる若い世代の背中を少し押せるようなことが出来れば、もう何もいらない。筑波大学院非常勤講師や清流の国ぎふ移住定住コンシェルジュも務める。
前半は講師3人によるトーク(なぜ今の仕事に行き着いたのか、原動力はなんなのか、どんな未来を目指しているのかなど)、後半は参加者を交えての対話のワークショップを行いました。

今回の会場は花植家
それでは早速レポートの方をどうぞ!
講師トーク① あらゆる問題の根底にある「価値観の相違」を、対話を通してほぐしていきたい。(古瀬正也さん)

トップバッターは古瀬ワークショップデザイン事務所の古瀬さん。高校時代から遡って、自身の人生について話してくださいました。
高2の夏に「これから何して生きたらいいんだろう?」と考え、スポーツの道を選び、初めての挫折を経験したこと。
高橋歩さんに感銘を受けて会いに行き、「すごい人も自分と何も変わらない人間なんだ、自分もやりたいようにやってみよう」と親近感を覚えたこと。
大学に進学するもどのコミュニティもピンとこず、それなら自分で作ってしまえとサークルを立ち上げたこと。サークル活動を通して環境問題や社会問題に出会い、沢山の問いを抱くようになったこと。
熱くなれる何かを探し求めて旅を始め、あらゆる問題の根底にある原因はなんだろう?と考えるようになったこと。
ワールドカフェという対話の手法に出会い、価値観が混ざり合う体験に衝撃を受けて、これだ!と思い、数週間後には自分で場を開いていたこと。

あらゆる問題は、異なる価値観の擦りあわせができていないこと、対話できてないことが原因なのでは、と考え始めたこと。
大学4年生の頃、その仮説を検証するために、日本全国で対話の場づくりを開催したこと。
大学卒業を控えた秋に約7ヶ月の日本一周ママチャリキャラバンの旅から帰ってきて、やばい、卒論を書かないと、と思い「ワールドカフェで起こる対話の構造」を研究したこと。
卒業後どう生きていくんだろう?と考えた時、対話の場づくり・対話の研究がしたいと実感したこと。
大学院に進学して「ワールドカフェデザインの可能性」という修論を書いたこと。
在学中から少しづつ対話の場づくりの仕事を依頼されるようになり、職業としてのファシリテーターを意識するようになったこと。
信頼する恩師からの一言「君なら今後も仕事頼まれそうだし起業しちゃいなよ!」の言葉に背中を押されたこと。

人生の中で大事にしているのは、定期的に人生について自分に真剣に問うこと。ヒントを得たらすぐ行動すること。目標を定めたら全力で向かうこと。失敗してもめげないこと。会いたい人にはすぐに会いに行くこと。
ファシリテーターの仕事は、当日の進行役というイメージが大きいが、実はその前の打ち合わせやヒアリング、プログラムの作成などの「事前準備」が何よりも大切だということ。

ファシリテーターの存在は、本来その場で行われていたはずの会話を奪ってしまったり、逆に本来なら存在しなかったはずの言葉を引き出してしまったり、強制的に対話の方向性をコントロールしてしまうような感覚があって、私はたまに、本当にこれでいいのだろうか、第3者が対話に対して強制力を持つのって果たしてこのやり方合っているのだろうか、と疑問や恐れを感じることがあります。
そんな中で、今回の古瀬さんのお話を聞けて、
対話というのは不可逆(元に戻れないこと)で、何が正しい問いなのか、何が正しい答えなのかは最後まで分からないからこそ、繰り返し目的と手段に立ち返って、両方のバランスをとりながらより良い対話の場づくりを模索するしかないんだ、としっくりくるものがありました。

参加者からも多くの質問が出ました。


周りもみんな就活しなくていいじゃん!みたいな感じの人ばかりで、世界一周したり、変な活動してる人がいっぱいいた。だから何も不安に思わず、やりたいことをやろうと思えた。学生時代、大学の外に仲間の輪を広げたことも良かったのかもしれないです。


僕はまだファシリテーターとして未熟で道半ばだし、目指したいこともやりたいことも今のところ沢山あるんですが、いつかは他の仕事をする日が来るかもしれない、という想定も頭のどこかにあります。もちろん今の仕事に対する不安だって常にあるし。
ただきっとどんな形であれ、その時々で自分がやりたいことやって生きてるだろうな、という安心感、みたいなものも、常に持ちつつ生きてるかな。



全然書ききれませんでしたが、対話の場づくりの仕事はとても奥深くて面白いなー!と感じた古瀬さんのトークでした。ありがとうございました。
講師トーク② 様々な分野で、世の中に好循環をつくり続けたい。(高山みちのぶさん)
続いて、循環クリエイターの高山さんトーク。


と自己紹介してくださった高山さん。


キャリアが散らかってて説明できないこと、仕事を頂く際に「最後までコミットしてね」と念押しされるくらい適当人間に思われていること(実際はそんなことない)、SNS依存症でいつもスマホ触ってること、眠い時すぐバレること、「循環クリエイター」という肩書きから観覧車クリエイターと勘違いされることなど笑いを取り入れながら、自身の働き方や仕事に対する向き合い方を語ってくださいました。

沢山のプロジェクトの立ち上げや組織運営に携わってきた高山さんの、仕事への思い。
高山さんも、古瀬さんと同じく学生時代から話がスタート。
高校時代はこれといってやりたいこともなく活躍する場もなく過ごしたこと。
大学に入ってから「高校の同級生を見返してやろう」という負のエンジンで色々なところに顔を出して、体験にお金を使うようになったこと。
大企業に入社し、組織に押しつぶされて惰性で動いた日々のこと。どうあがいても勝てないプロフェッショナルを前に、結局誰のために働いているのか分からなくなったこと。
TEDx に登壇して炎上、孤独を体験し、発信することに恐怖を感じるようになったこと。

転職や新たな挑戦を重ねる中で、何かを突き詰めることに自分が向いていないと感じ、少しづつ自分の仕事への価値観を言語化していったこと。
地方というフィールドに可能性を感じるようになり、リソースを分散してパラレルに働くようになっていったこと。
会社の意向で担当プロジェクトがクローズしたりという経験から、資本主義のトップダウン組織の限界を感じたこと。
様々な組織の立ち上げや運営に関わる中で、外部要因を減らすには自分主導でやるしかない、と決意したこと。

自分達でつくった会社を追い出されて人間不信になったこと。
悩みの80%ほどは根底に「人間関係」があると気づいて、自分がリラックスできる拠り所を求めるようになったこと。
人間関係を意識して仕事を選ぶようになってから、拠り所が増え、仲間に恵まれるようになったこと。
人間関係の悩みがなくなると、生産性が上がったこと。
リスクを背負い自分を追い込むことこそ、成長のトリガーであると感じていること。(安定収入源の確保も大事)


リーダーは必ずしも完璧じゃなくてよくて、フットワーク軽く突き進むパワーと、リスクを背負う勇気、みんなが助けたくなるような仲間を巻き込む力、チームメイトを見定める目、を兼ね備えていることこそが、大事であること。
などなど、自身の経験に伴う貴重な学びを、エピソードと共にシェアしてくださいました。


僕はやりたいことが多すぎて時間が足りない人なので、逆にやりたくないことをリストアップしてみたり、日々自分が感じてる些細なことやアイディアを自由に紙に書き出してみて頭を整理してます。おすすめですよ。


大きな組織にいたとき、この場所は自分には合わないと感じたけど、そのぶん1人の失敗を組織全体の力でカバーして許してくれるような、大きな会社ならではの環境の良さを知れて、参考になった。どれも無駄な経験だったとは思ってないです。
まだまだ聞き足りないことも多かったのですが、ここでタイムリミットが来てしまい、ひとまず終了。残りは夜の交流会で!となりました。
講師トーク③ 誰もがありのままに自分らしく生きられる社会を作りたい。(柴原孝治さん)
最後は、白川郷ヒト大学学長の柴原さん。

自分のやりたいことが見つからなかったから大学時代のこと。
自分の興味がある分野ではなく、時代の流れに合わせてこれから盛り上がりそうな業界に就職したこと。
働き出したらそれなりに楽しくてやりがいがあったが、大きな組織の駒として働く日々や、自分のキャリアの限界が見えたことに、疑問を抱くようになったこと。
長海外赴任の話が来たときに、迷わず手を挙げたが、直前でそのプロジェクトがあっさりなくなって、「自分の身の振り方を自分で決められない」というサラリーマンの現実にショックや無力感を感じたこと。
前職でリクルーターをしていたとき、仕事にやりがいを見出せずに離職していく若者の多さに衝撃を受けたが、一方で地方では高齢化が進み、人口の3人に1人が高齢者で人手不足の実態を知ったこと。
何でそんなことが起きるんだろうと考え、「自分らしく生きられずに悩んでいる若者と、担い手不足の地域を繋いで、なにか社会課題の解決に繋がるような事業がしたい」と強く思うようになったこと。

思い切って長く務めた大手の会社を辞めて、白川村に移住してきて6年。
グローバルではなくローカルへと視点を変えて、生活も180度変わったが、今やっと自分の手でやりたいことが実現できている実感があること。
小さな地域でカフェ事業とまちづくり事業を始めて、以前とは比べものにならないような小さな経済圏の生活をしているが、自分の納得のいく暮らしや子育てができていて、幸せを感じること。
お金を介さない労働(地域の人足作業・魚釣り・薪割りなど)は、暖房費や食材費を稼ぐ仕事と同等であり、それならば自分が気持ちよく働ける方を選びたいと思って、白川村で暮らしていること。
これまでの人生を振り返りながら、今の暮らしに行き着くまでの自身の変化について話してくださいました。


どれが正解というのはないし、遅いも早いもないから、人と比べても仕方ないかなと思っていて。昔はもっとガツガツしてたから、今の自分の言葉を当時の自分に聞かせても全然響かなかったかもしれないし(笑)
ただ、自分が本当にやりたいこととか、本当に幸せな暮らしとか、もっと早く気付けたら良かったなという羨ましさはあります。
歳をとって色んな欲が弱ってくると、穏やかに生きたいと思えてくるもんですね。


あとは大阪人らしく、「面白いから」という抽象的な言葉で、自分がやりたいと思った仕事をやってます。こんなスタンスでやってたらいつかしんどくなるかなとも思ってたんですが、やってみたら意外と行けたので、しばらくはこの不安定さも含めて楽しんでいこうと思ってます。
【後半】講師3人によるクロストークと、参加者を交えての対話のワークショップ。
後半は、「これから生きていくのに必要な能力や経験とは?」「仕事とはあなたにとって何ですか?」などのトークテーマを元に、講師3人によるクロストークが行われました。

参加者からも質問が飛び交い、賑やかなセッションになりました。
その後の参加者全体でのワークショップは、3チームに分かれ、自己紹介や参加動機をシェアした後に、いくつかのテーマで対話を重ねました。

古瀬さんチーム

高山さんチーム

柴原さんチーム






古瀬さんのチームでは「Yes and」というアイスブレイクを実践中。

「あなた火星から来たんですよね?」とかの謎ワードが聞こえてきましたが、めっちゃ盛り上がってました。







最後は全員で大きな輪を作り、「今の仕事・活動・生き方の先に、あなたが思い描く未来は?あなたにとって”面白く生きる”とは?」というテーマで、決意表明も兼ねて1人1人の思いをシェアしました。



今日は講師の方々の等身大の葛藤や迷いに何度も共感したりしながら、「世の中に名前が出ている人だからといって、ゴールしているわけではなくて、何も変わらない、それぞれの目標に向かって歩んでいる道半ばの1人のひとであるんだな」と感じました。

これからも私自身の「自分らしく生きるとは」について向き合いながら、楽しく生きていきたいです。
などの感想が印象的でした。

最後に花植家の縁側で記念写真


ここで講座は終了。
例年2日間に分けて行なっていた内容を 今回は1日にぎゅっと詰め込んだので、時間が足りない感じはありましたが、お越しくださった講師・参加者の皆様のおかげで、今年も良い対話の時間を持つことができたと感じています。
ご参加頂いた皆さまに心から感謝です。反省点は多々ありましたが、来年に活かします!
夜の交流会の様子もどうぞ
講座終了後は、それぞれ宿や温泉で休んだあと、交流会を行いました。







みんなリラックスして良い顔してます。






参加者同士、良い縁が深まったようで、何よりです。
おまけ 2日目の集落散策
今回の講座内容は1日で終了でしたが、せっかく村に来てもらうならと、希望者に向けて2日目はヒト大スタッフによる白川村アテンドを行いました。
天候に恵まれず大白川(湖)ツアーは叶いませんでしたが、稲穂の美しい景色の中で集落散策することができました。






合掌造り家屋の中も見学




参加者の皆様、講師の皆様、お世話になった地域の皆様、本当にありがとうございました!お疲れ様でした。
講師や参加者の感想
ぜひご一読を!
11月10日(日)には、横田親さんを講師に招いて「面白く生きる合宿 後編」も開催します。ぜひそちらもお越しください🙇(また改めて告知します!)
私は古瀬さんが仰っていた
「対話の場づくりをする上で大事なのは、目的と手段を何度も行ったり来たりすること。」
という言葉が、とても心に残りました。