誇りをもって仕事する。田口建設

「あの日のことがなければ、今ほど自分たちの仕事に価値を感じていなかったかもしれません」

昭和51年の秋ごろ。

ここ白川村は台風により、大きな被害を受けた。

白川村に立地する田口建設も例外ではない。

生コンクリートと砂利のプラントを流されて、廃業の危機を迎えるほどだった。

今回、初めにお話をしてくれたのは田口建設の田口節子さん。現社長の奥さんです。

 

「その日の朝、主人の父がどこかに行ってしまったんです。従業員のみんなは、こんな状況に社長はショックを受けたのだと思ってなのか、社長がいないことを言えないでいました。そしたら夕方、意気揚々と帰ってきたんです」

“俺たちのやった現場はな、残っとったぞ!俺たちの仕事は確かだった。”

お義父さんは興奮して、そう言われたんだそうです。

「みんなはすごくマイナスな事を考えていたのに、お義父さんはそういう思いで現場を回っていた。それほど自分の仕事に懸けていたんだと分かり、ものすごく衝撃を受けました」

田口建設が請け負う仕事は、川の横の土手が壊れないようにブロックを積んだり、道路に山崩れが来ないように擁壁を作ったりと必ずしも大きな仕事というわけではない。でもその一つ一つを、いかに大事に仕事をしていくか。

 

節子さんはそれを、“作品を作っているよう”と言葉にした。

何十年も人に見られる仕事。

そういう事もあってか、この業界は会社の大きい小さいに関わらずロマンチストが多い気がすると話してくれた。

「それぞれ思いは少しずつ違っていても、“みんなの役に立つことをしている”という自負を持って、大変な仕事もしている。だから合理的に金儲けをしようと考える人には向かないと思います」

そんなロマンチストになる人はどういう人だろうか。

今、建設を志す人は少なくなっているという。

「全身をかけて、取り組まなきゃいけない世界です。虜になると結構のめり込んでいくんですけど、そこまでに行く過程が今は少なくなっている。まず、きっかけがない」

成績の優劣だけで進学先を選ぶようになってきて、土木科を持つ高校が少なくなってきている。そして、まちの建設工事現場は安全を考慮してか、壁で囲っている所が多い。

「現場で、中で、人が何をしているのか。それがほぼ見えないです。せいぜいクレーンが見えるくらい。そういう事に触れる機会がほとんどないから、何か特殊なことをしているようにも思われがち」

 

「仕事を選ぶ時、例えば喫茶店なら皆さんが行くからイメージもしやすい。でも、建設業界は触れる機会がない。見えるものは大型の機械とかで、人間がそこで何しているか、見えていないんじゃないかって思います。だから、中をのぞきにくる感覚で見にきて欲しいなって思っています」

次にお話を伺ったのは、現社長。田口修一さん

現在は、社長として外部へ出向く事が多いが、若いころは現場で経験を積んできた方。

「仕事をしている瞬間が楽しいというより、現場が出来上がるでしょ。道路や橋とかね。それを皆さんに使ってもらう。そういう喜びだね。まあ建設業の喜びって、それが一番だと思いますよ」

 

修一さんは、写真からも分かるようにおだやかな方。個人的に持っていた“建設業って固い雰囲気”というイメージとは程遠い存在でもあった。

「建設業って固く見えるでしょ。あれ、明治の頃からある請負師っていうやつでライバル会社に睨みをきかせるような集団で。で、私が帰ってきた時“あんまり恐そうじゃないな”とか“こんなんじゃーおめー負けてまうぞ”とか言われるほど私、優男だったんですよ。(笑)」

「僕らの時代から大学に行ったのちに跡を継ぐ人が増えた気がする。その時くらいから、建設業の多くが和気あいあいとやってて、昔のイメージとは違ってきている」

そんなこんなで卒業後、田口建設に元々いた従業員の方々からは役職名ではなく、“わか”であったり“しゅーちゃん”と呼ばれたりもしていたとか。

職人のようでありながら、チームで仕事をする。人と人が関わる仕事。

たとえば、擁壁という山が崩れないようにする現場でのこと。

2人が擁壁の型枠を組んで、その間にもう2人は鉄筋を組んでおく。他でもう一人が重機を使って、現場をきれいにならしておく。各現場の責任者となった者はこうした段取りをうまくやるために、常に意識をめぐらす。

 

もしも、経験値ゼロのインターン生がポンッと現場に来たら、まずは「ここを引っ張ってて」と測量の手元をお願いされるかもしれない。コンクリートを締め固めるためにバイブレータという機械を使うことになるかもしれない。それとも「草刈機でここを刈っといて」と言われるかもしれない。

その日にやる事はその現場次第。そして、安全を図るためにもコミュニケーションが欠かせない。ほんとにチームで仕事をしている。

そんな方々をぜひ、のぞきに来てみてください。

社員一人一人の顔が見える、家族のような会社で一緒に働いてくれる方をお待ちしています!

2018.06.26

 

この記事を書いた人

村瀬 貴幸

愛知大学4年生。
さっそうと片道10km、自転車通学してます

インターン事業所 一般社団法人ホワイエ

滞在先 やまごや以上ほしぞら未満