【 O.D.O.R.Uプロジェクトを追う! 】島の福祉について、共に考える仲間を増やしたい。

こんにちは!前盛まえもりよもぎです。

 

早いことに、八重山ヒト大学が開校して、もうすぐ8ヶ月が経ちます。

 

大学のない八重山に、若者が思いを伝え合う場、欲しい未来について語り合える場を作りたい。そんな思いで立ち上げたこの活動も、気づけば20人ものチームになっていました。

 

 

メンバー1人1人、年齢も、職業も、出身地域も、今住んでいる場所も、島への思いも、十人十色で。

 

日々みんなで話し合いながら、八重山が抱える課題や、いま私たちができること、やりたいことについて考え、関わってくれている沢山の人との関係性を活かして、思いを形に起こしていっています。

 

今日はそんな、最近新たに動き出したプロジェクトの1つ、福祉分野での取り組みを、ご紹介させてください。

きっかけは、島に帰ってきて、福祉現場の若者の少なさに危機感を感じたこと。

【左】仲里 和樹  【右】内原 澪 

 

仲里:こんにちは!ヒト大学メンバーの仲里なかざと 和樹かずきです。友達からは「ばんち」というあだ名で呼ばれています。高校を卒業後、大学で福祉を学び、現在は石垣市社会福祉協議会で障がい児通所支援の仕事をしています。

 

僕は島に帰ってきてから、福祉職に就いている同世代の少なさにびっくりして、「島出身の若者が福祉の仕事の面白さについて感じられる機会がもっと必要だ」と考えるようになりました。

 

そんなときに今回のプロジェクトの話があり、これは僕たちが日常的に感じている八重山の福祉課題に真剣に向き合っていくための、小さな第一歩になるんじゃないかと感じました。

 

今日はせっかくなので、そんなプロジェクトの内容紹介と合わせて、背景にある僕たちの思いについても、お話させてもらおうと思います。

 

長くなってしまうかと思いますが、福祉や教育に関心がある同世代には、ぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

 

 

原:こんにちは!同じくヒト大学メンバーの内原うちはら みおです。石垣市役所障がい福祉課の嘱託職員として、基幹相談支援センターで働いています。

 

私はもともと地域づくりや教育の分野に関心があったんですが、大学時代に福祉の勉強をする中で

 

「もしかしたら福祉って、教育とか地域づくりとか全部ひっくるめて人が生きる上での全てのことに繋がってくる、暮らしの1番根っこにあるものなんじゃないかな」

 

と考えるようになり、福祉の仕事に興味を持つようになりました。

 

また、八重山ではよく島の外部の人が主導になって地域活性に取り組んでいる様子を見かけますが、私はそんな場面にいつも少しだけ疑問を感じていて、もっと島出身者が主体となった活動で 八重山を盛り上げたいなという思いがあったので、今回のプロジェクトに加わりました。

 

私もばんちさんも、島に帰ってくる以前から鹿児島や沖縄本島で福祉職をしていましたが、やっぱり実際に島に帰ってきたことで初めて気づけたことも多いので、今日はそんなお話も交えながら、活動の紹介をしたいと思います。

そもそも なんで福祉に興味を持ったの?

 

仲里:僕は、子どもの頃は学校の先生になりたいと思ってたよ。でも朝から晩まで野球ばっかりやりすぎて、勉強を全然してなかったから、途中でこれは無理だなって諦めて(笑)

 

昔、中学時代の野球部の顧問の先生に「お前には将来、学校の先生になって野球部の顧問になってほしい」と言われたことがあって、その言葉がずっと胸に残ってたんだけど、「人と関わるのが好き」という自分の性格は他の職業でも活かせるんじゃないかなと思って。

 

じゃあ他に何の仕事があるかなと考えたときに、誰かの人生に関われる仕事がしたいなと思ったわけさ。そしたら、なんか自然と「福祉」って言葉が浮かんできて。

 

もともと、うちのばあちゃんがデイサービスに通ってて、小学生の頃から毎朝家に職員さんが迎えにきてくれるのを見てたんだけど、その職員さんたちが毎朝めちゃめちゃ元気で、良いイメージがあったことも影響してると思う。

 

 

内原:私は、中学生の頃までは保育士になりたかったな。小さいときから年下の子の面倒を見ることが好きで。

 

でも、高校生になって、改めて自分の興味関心を深く掘り下げてみたら、保育園で先生をすることよりも、心に傷を負った子どもたちのサポートとか、寂しい思い・苦しい思いをしている人に寄り添って、より良く生きるための手助けをするような仕事がしたい、と感じるようになっていて。

 

幼少期の経験は、人格を形成する上で大きな影響を与えると言うけど、私の場合は子どもの頃に好きだった人がグレてヤンキーになったこととか、両親が離婚したこととか、そういう出来事が原体験になったように思う。

 

自分の中で印象深かった記憶を辿ると、そのすべてが「福祉」という言葉で繋がっていたんだよね。

島に帰ってきて感じる課題はどういうところ?

 

仲里:は、障がいのある子どもたちの学童の職員として働いてるんだけど、現場の人材不足はやっぱり強く感じるよ。うちの職場は、1対1の支援が必要な重い障がいの子も多いんだけど、職員の数はいつも充分に足りてない状況で。

 

あと、高齢者への支援サービスには、必ず専門職の人が入るんだけど、障がい児支援の現場に関しては、保育士さんとか看護師さんとか、教員の方とか無資格の方とか、いろんな方がいて、福祉の制度や在り方についてきちんと学んでいる人材が少ないのも現状かな。

 

 

みんな同じ思いは持っていても、それぞれ知識も意識も違うし、目的や目標の設定の仕方も違うので、互いに学び合う機会がもっと必要だなと感じる。

 

あと、石垣市は全体的に保育士が足りてないんだけど、保育園勤務の保育士にはお祝い金が出るのに、福祉関係の保育士を求める現場には補助が出ない、ということなども課題だと思う。

 

 

内原:私も、福祉現場の労働環境については、石垣島だけじゃなく離島全体で改善すべき点が多いと感じます。

 

キャリアアップしたい若者が、研修や資格取得を受ける際に長期で沖縄本島に出向かなきゃいけないのに、交通費の補助がでないとか、そういう小さなことが結果的に人材不足に繋がっていると思うので、福祉現場だけではなく、八重山全体で考えていくべき問題だなって思う。

 

今の私の仕事は、怪我や病気や様々な要因で生きづらさを感じている人に対して、より良い支援方法を考えて、福祉サービスに繋げるための申請手続きをしたり、専門機関に繋げるための調整役をすることなんだけど、

 

石垣にいるとどうしても、最新の取り組みや制度についての情報を得るのが遅くなってしまうのが、課題だなと感じます。

 

もっと積極的に、他の市町村がやっている素敵な活動を真似したり、新しいサービスを上手く活用したりして、常に学び続ける努力をしなきゃいけないなと思う。

 

そしてそのためには、こういう場で同じ思いを持った仲間と情報交換したり、相談し合えるネットワークを広げていくことがとても大事だと感じます。

福祉の役割とは?そもそも福祉ってなんなんだろう?

 

仲里:俺は、大学生のときに実習先で、「福祉の仕事は、人の人生の一部に深く関われる仕事だよ」と言われたのが、めちゃめちゃ胸に残ってる。

 

そのモチベーションで何十年も仕事が続けられてるってすごいなと思ったし、実習が終わる頃には自分もなんとなくその言葉の意味が分かってきていて、涙が出るほどの経験もさせてもらって。

 

福祉って、本当に誰かの人生の一部に参加させてもらうような仕事で、とても大きな役割だなと感じるし、その感覚は実際に現場で働くようになってからも、どんどん強くなっていってる気がする。

 

 

内原:私の大学では、福祉を「ふくし」と平仮名で表記して、「つうに らせる あわせ」「だんの らしの あわせ」とか訳してたんだけど、その言葉がすごく分かりやすいなと思って。

 

福祉サービスっていうのは、みんなが「ふつうに暮らせる幸せ」を手に入れるためにあるし、福祉の仕事をしている人は、そのサポートをすることが役割なんだよね。

 

今の時代って、人生の中で福祉サービスを1度も受けない人なんて居ないってくらい、とても身近なところに福祉の仕事の存在があって。

 

保育も、高齢者介護も、障がい者支援も、何も特別なことではなくて、当たり前に私たちの暮らしの中に共存している。

 

人が幸せに生きる上で欠かせない「ふくし」について学ぶことは、どんな人にとっても人生を豊かにするための糧になると思うので、もっと多くの人に福祉の面白さや奥深さについて知ってもらって、考えてもらえうきっかけを作れたらいいなと思います。

島で福祉の仕事をしていて楽しいなと思うのはどんなとき?

 

仲里:石垣は小さい島だから、車でちょっと走れば牧場があって海があって。子どもたちを色んなところに連れていってあげられるのが楽しいなと思う。

 

障がいのある子は、外出の大変さとか、家族が周りの目を気にしてとか、色々な理由から、健常児の子よりも行動の範囲が狭いことが多いわけさ。

 

でも、子どもたちにとって、初めてのものに触れる瞬間って、すごい成長の機会なんだよね。

 

この前ヤギ牧場に行ったときは、ヤギを初めて見る子が多くて、大泣きしてた。そりゃそうだよね。生まれて初めて見る生き物だから、この動物が襲いかかってくるかとか、吠えるかとか、何も分からなくて怖いんだよ。

 

でも、30分もすれば、ああこの動物は噛まないんだとか、恐くないんだと学んで、平気でその場に居れるようになる。それは、すごい成長だなって感じて。

 

 

仲里:俺らが当たり前に知ってることを知る機会がなかった子どもたちに対して、石垣島の大自然は沢山の学びを与えてくれると感じるから、島で福祉の仕事に携われることは幸せだなと思ってるよ。

 

あとは、積極的に外に出かけることで、こういう子たちも沢山いるんだよって、八重山の人たちにもっともっと知ってもらいたいという気持ちもあって。

 

最近は、外出先で「うちの環境が整ってないせいで車椅子だと遊びづらいかもしれないね。ごめんね。」とか、わざわざ気にかけて声をかけてくれる方も増えてきてさ。

 

こういう風に、障がいのある人が日常の中に当たり前に共存している空間を作っていくことが、大事だなって感じるよ。

 

 

内原:普通校に通う子どもたちが、特別支援学校に通う子どもたちに対してどう接していいか分からないのとかも、お互いに出会う機会が少ないことで「自分たちとは違う存在だ」って無意識に思ってしまっていることが原因だと感じるよ。

 

私の大学では、視覚障害や聴覚障害のある学生さんも多くいて、日常の中に点字や手話を使ってる人や、車椅子に乗っている人が沢山いたわけさ。学校内でも、障がいのある学生さんのサポートをみんなが当たり前にしてて。

 

でも、八重山ではそういう環境ってなかなか無いから。いつかこの島でも、福祉への理解が広く浸透して、もっと色んなマイノリティーの人が、安心して楽しい気持ちで外を歩けるような環境になったらいいなと思う。

 

 

仲里:そうだね。障がいのある子の兄弟とかを見てると、人間としての器がめちゃめちゃ大きいなと感じることが、よくあるもんね。

 

本人たちにとっては、健常者と障がいのある人が一緒に暮らしている環境なんて当たり前なんだろうけど。

 

自分の学校の友達にも障がいをもった兄弟のことを堂々と紹介していたり、一緒に遊びにまぜてあげたりしていて。そういう子は他の障がいをもった方に対してもすごく自然で、フラットに関係性を築くことができていて、めっちゃ素敵だなと感じるわけさ。

 

島のみんなが、そんな感覚になれたらいいよね。

 

内原:当事者同士やその家族同士、支援者同士が、島にもともとある地域コミュニティの力を生かして、互いに助け合えるという点も、小さい島ならではの魅力だと思う。

 

今日のように、島で福祉職に携わっている人同士が語り合う場を作ったり、島外で福祉について学んでいる同世代に向けても積極的に情報発信をしたりとか、人と人との繋がりを生かすことで、もっと色んな楽しい取り組みができると思うし。

 

 

私の夢は、性別や年齢や障がいの有無に関係なく、島で暮らす色んな人が楽しめる野外マルシェみたいな、小さなフェスみたいな場を作ることわけさ。

 

うちのじいちゃんの畑が、いま芝生が生えてグラウンドゴルフ場みたいになってるんだけど、そこで障がい者の方が作った作品やアートを展示したりとか、その横に誰もが歌ったり演奏したり踊ったりできるステージを作ったりとか、そんな自由な空間を、日常の中に設けられたらいいなと思って。

 

そして、そんな気持ちのいい場所で、互いの人生を共有し合う「ヒューマンライブラリー」という対話の場を持てたら素敵だなとか、どんどん想像が膨らんでるんだ。

 

ヒト大のホームページで掲載してるインタビュー記事も、キラキラ活躍してる人だけではなく、苦しい思いや孤独な思いを経験しながら頑張っている人や、病気や障がいと共に生きている人など、もっと色々な人に取材させてもらいたいなと思ってる。

 

まずは1つ1つ、思いを形にしていって、島に生きる1人1人がもっと豊かに暮らせるような島の未来を、叶えていけたらいいな。

 

仲里:そうだね。ではこの辺でそろそろ、プロジェクトの紹介に移りましょう!

「O.D.O.R.U」プロジェクト始動!

 

大変お待たせ致しました!やっとイベントの告知にたどり着きました。(毎度のことですが、前置きが超絶長くてすいません。)

 

ヒト大メンバーが、たくさんの熱い想いを胸に関わり始めた活動、それがこちらの「O.D.O.R.U」プロジェクトです。

 

沖縄県の社会福祉協議会さんが、離島福祉人材の支援を目的に行なっている取り組みで、来る6月5日(水)~7日(金)には、石垣島での福祉体験モニターツアーも開催されます。

 

私たちがこのプロジェクトに関わることになった経緯というか、メンバーの中でどんな思いがあったのかをきちんと伝えておきたいという思いがあり、長々と前段を書いてしまったのですが、

 

1番伝えたかった思いはシンプルで、「このプロジェクトの動きを今後もチェックして見ていてね!」ということだけです。

 

 

沖縄の離島における福祉人材不足を解消しようという目的で、昨年度から石垣島・西表島・伊平屋島をモデル地域として行われているこの取り組み。

 

昨年度1年間は、島の福祉事業所を対象にしたセミナー実施や、各島の課題のすり合わせ、地域内でのデザインワークショップの実施、島の福祉について伝えるパンフレットづくり、東京での離島PRイベントなどが行われました。

 

そして今年度からは、私たち八重山ヒト大学も関わらせて頂きながら、各島でのモニターツアーの実施や、合同研修会・情報交換会の開催、沖縄本島と東京でのPRイベントの開催などを行っていく予定です。

 

今回、石垣島の白保ハーリー(海神祭)に合わせて開催される2泊3日の福祉体験ツアーでは、 参加者が実際に島の福祉事業所にお邪魔して話を聞いたり、地域のおじーおばーと交流したり。

 

 

夜の懇親会では、先ほど会話に出てきた「ヒューマンライブラリー」を開催して、ツアー参加者やヒト大学のメンバー、島の福祉従事者さんが集って、互いの思いを語り合う時間も予定しています。

 

既に1次応募は締め切ってしまいましたが、残り数枠、2次応募も行なっているので、ご興味のある方はこちらから、参加条件などをご確認の上でお申し込みください。(締め切りは2019年5月24日(金)です)

 

石垣島の受け入れ事業所の方々

 

同じ八重山内でも、島ごとに抱える環境や状況は違いますが、直面している課題は皆一緒です。

 

こういったプロジェクトをきっかけに、互いに連携し合って、継続的な福祉環境改善の取り組みの在り方を、模索していけたらいいなと思います。

 

プロジェクトの様子については、年間を通して連載でお伝えしていく予定ですので、皆さんどうぞお楽しみに!

 

 

Text by  前盛まえもり よもぎ

Photo by  大山おおやま 真史  ちかし

 


語り手 プロフィール

高校時代に所属していた部活のポーズで( 野球部 / カラーガード部 )

 

仲里なかざと 和樹かずき  |  好きな食べ物はオムライス。島で1番好きな場所は、友達が集まってる場所。友達の家とか大好き。好きな漫画は「アイシールド21」。 

 

内原うちはら みお  |  好きな食べ物は長芋。島で1番好きな場所は漁港。海保の船が好きだから。好きな映画は「タイタニック」。

\ O.D.O.R.U プロジェクト 主催・共催・協力事業所 /

沖縄県社会福祉協議会 福祉人材研修センター石垣市一般社団法人ゆんたくガーデン社会福祉法人 綾羽福祉会( まえさと茶寿苑・障害者支援施設ハーモニー )社会福祉法人 希望ヶ丘( ケアハウス ばすきなよおデイサービス ゆりヶ浜 

この記事を書いた人
前盛 よもぎ ( Maemori Yomogi )
石垣市星野村出身。早稲田大学に在学中。地域づくり・教育について現場で学ぼうと、岐阜県白川村に移住して多様な場づくりを実践中。対話やコミュニティ形成に興味があります。踊ることと、白くまアイスと、味噌汁が好き。仲間と何かを作り上げてる時間が幸せです。1995年6月生まれ。
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