「大学のない八重山に、若者の学びの場を作りたい。」八重山ヒト大学が描く未来。

こんにちは。八重山ヒト大学の前盛よもぎと申します。

 

今日は、この活動を始めたきっかけや、私たちがいま描いている未来について、書こうと思います。

ヒト大学を始めたきっかけ

 

まず、1番のきっかけとなったのは、今年行われた「石垣市長選」でした。(どうかここで記事を離れないで、もうちょっと読んでくれたら嬉しいです。)

 

今回の選挙は、自分自身や自分の周りの大切な人たちの暮らしに直結する問題が論点となっていたこともあって、初めて興味を持ったんです。

 

八重山が今抱えている課題のこと。島の先輩たちの意見。政治思想の違う大人同士がはっきりと対立してしまって、歩み寄れていない現状。島んちゅ同士が喧嘩している間に、大変な出来事がどんどん動き出していること。

 

片っぱしから調べて、考えてみた結果、今まで自分がいかに無知で無関心だったのかを思い知り、ショックを受けました。

 

生まれ島の未来を左右する大事な出来事に関して、未だ1度も家族や友達と真剣に語り合ったことがなく、周りのみんなが今どんな意見を持っているのかさえも知らずにいるのは、本当にやばいぞ、とそこで初めて感じて。

 

大好きなこの島で、大切なものを守りたいと思うなら、まずは知って、学んで、意見の違う人同士で言葉を交わし合うこと、互いの考えに耳を傾け合う努力をすることが必要だなと思ったんです。

多様なヒトが繋がり合い、本気で語り合い、”島のより良い未来”をみんなで考えていける場を作りたい。

 

数年前、私たちがまだ島で高校生をしていた頃って、真剣な話もくだらない話も、友達同士で何でも話せたと思うんです。

 

でも、大人になるほどに、立場や所属や信条を気にして 堂々と自分の意見を語れない人が増えていって、地域の未来について家族や友達とさえ語り合う機会が減っていってしまうのが、とても悲しくて。

 

「生まれ育った島の未来をより良くしたい」という思いは、八重山で暮らすみんなが同じなはずなのに、アプローチの手段や方向性が違うだけで、争ってしまったり、周りからの批判を恐れて黙り込んでしまったりするのは、なんだかとても寂しいなと感じたんです。

 

まずは島んちゅ1人1人が真剣に考えて、互いに歩み寄る努力をしなければ、この美しく豊かな八重山は、あっという間に変わってしまう。

 

だから、まずは右とか左とか思想の違いなんて関係なく、島で今起こっている出来事について正しく知る機会、みんながフラットに語り合って、より良い解決方法を考えていけるようなコミュニティを、作りたいと思ったんです。

 

そしてそれは、歳を重ねてしまってからでは遅いなとも感じていて。

 

20代の今のうちから、同世代の関係性を深めて、誰もがいつでも腹を割って一緒にお酒を飲めるような空気を、じっくりと大切に育てていきたい。そう思って、この八重山ヒト大学を立ち上げました。

八重山への関わり方を多様化して、生き方・働き方のグラデーションを豊かにしたい。

 

私たちの世代は、「島が好き」という気持ちは大きいけれど、いざ仕事や暮らしの選択肢を考えると、島に帰ることへのハードルはなかなか高くて、高校卒業後島を出たら、そのままだんだんと島との縁が薄くなってしまう人が多いように思います。

 

でも、今の時代、島での面白い生き方・働き方って実は沢山あるし、遠くの場所から島に関わる方法も、自分なりにふるさとへの思いを形にしていく方法も、色々ある。

 

だから八重山ヒト大学では、キャッチコピーにしている「”島と生きる”をおもしろく」という言葉のように、島との関わり方を幅広くデザインして、新たな世代の 新たな形の対話の場を生み出して、発信して、面白いヒトとヒトが繋がり合うためのプラットフォームの役割を、担っていきたいと思っています。

 

地域に根を張って頑張っている誰かの姿が、迷っている誰かの背中を押すこともあるかもしれないし、島を出て広い世界で活躍する先輩の言葉が、今は島の小さな世界の中で生きている後輩達の希望になることも、あるかもしれない。

 

あなたの人生のストーリーが、島で「生きづらさ」を抱えながら生きてきた誰かにとっての、救いになることだって、あるかもしれない。

 

そんなことを考えると、離れた場所にいるヒト同士、異なる意見・体験を持つヒト同士が言葉を伝え合うことって、とっても大事なのだと思います。

 

この辺の話については、副学長の千花姉も下の記事で語ってくれてるので、ぜひ読んでみてください。

 

「島にルーツがある若者たちの活躍の場を作りたい。」Uターンした石垣島で新たな生き方を実践する、橋爪千花さん。

 

地域の未来のこと。私たちのこれからの生き方のこと。

 

真剣に語るのって、気恥ずかしいし、真面目な話をして友達に距離を置かれるのも怖いかもしれないけど、本来そういう会話ってもっとカジュアルに生活の中にあっていいものだと思うんです。

 

そもそも、自分の生まれ育った大好きな場所をフィールドに、子どもの頃から一緒に育ってきた友達たちと何かを成し遂げる体験って、何よりも楽しくて納得感のあることなんじゃないかなと思っていて。

 

高校時代の、あの頃のように。

地元の仲間達と、みんなで島を盛り上げたい。

 

描いたことを形にして、学園祭みたいな、みんなで思い切り楽しめることを、やり続けて生きていきたい。

 

そんな小さな想いが、ヒト大の原点です。

否定から生まれるパワーではなく、肯定から生まれるパワーを原動力に、穏やかな革命を起こしたい。仲間を増やしたいから、影響力を持ちたいから、偏った発信はしない。

 

ローカルでなにかイノベーションを起こす時、既存の体制や思想に対する反感や否定の気持ちから入ることって多いように感じます。

 

でも、ネガティブな言葉を叫ぶばかりでは、異なる意見を持つ人との溝は深まるばかりで、歩み寄ることは難しいし、根本的な解決には行き着けない気がしています。

 

「正しさ」って大事だし、熱く正義を語ることも大事なんだけど、あまりに一方的すぎると、沢山の人に言葉を届けたいはずなのに、逆にみんなに煙たがられて、誰も耳を貸してくれないような状況になってしまう。

 

だから、私たちの世代は、互いの意見を否定し合ったり押し付けあったりする関係性ではなく、向き合って歩み寄るためのコミュニケーションを築いていきたいなと、綺麗事かもしれないけど、思っています。

 

誰かの批判ではなく、まずは言葉を交わし合う努力から。

 

島んちゅ皆が共通して持っている「島が好き」「八重山を良くしたい」というポジティブな思いを集めて、再確認し合って、その前向きな優しいパワーを原動力に、未来をつくっていきたい。

 

そのために、このヒト大での発信も、偏った人にしか届かないような言葉は使わないように気をつけたいと思っています。

 

個人の見解を押し付けるのではなく、事実をフラットに伝えて、読者1人1人に自分の意見を考えてもらえるような場を作りたい。敵対したら物事詰まるし、客観的にありのままを伝えることを、大切にしていきたい。

 

「オール沖縄は、イデオロギーではなく、アイデンティティーだ。」

 

この言葉を聞いた時、まさにその通りだなと思って。

 

※ 「オール沖縄」とは、保革を乗り越えて団結する動きのこと。「イデオロギー」は政治思想、「アイデンティティー」は帰属意識の意。

 

八重山も、今まさに、島んちゅみんなで言葉を交わし合わなきゃいけないタイミングを迎えているんだと思います。

 

70年前、あの地上戦を経験した八重山だからこそ、小さな島の中で争っている場合ではないと思うんです。

 

 

この映像は、「辺野古」県民投票にまつわるドキュメンタリーなんだけど、9:30あたりからのシーンを、本当に見てみてほしい。この場面はまさに、立場・意見の違う若者同士が、対話を通して自分の考えを深堀りしてお互いの意見を交わしているシーンだなと感じます。

 

5:03あたりでも、異なる政治思想を持っている親子がとてもラフに議論していて、「ああ、ヒト大で見たい世界は、こういう風景が当たり前に日常になる未来だな」と思ったんです。

 

多様性の少ないこの島で、意見や立場を乗り越えて、新しい八重山を創っていくこと。

 

そのために、このヒト大学の活動にも、色んな意見の人、色んな立場の人に関わってほしいと思っています。

八重山の幸せな未来を、みんなで作りたいから、いま旗を立てました。

 

いま 八重山ヒト大学に関わっているメンバーは、その多くが島に住んでいない20代です。みんな、島への想いはあるけれど、まだそれぞれ国内外の色々な場所で自分の視野を広げるために学んでいる真っ最中で、島に帰るのはきっとまだ だいぶ先のこと。

 

それでも、そんな状況の私たちが、なぜ今旗を立てたのかというと、「早く仲間を増やしたかったから」なんです。

 

「準備が整ってから始めよう」では、遅いと思うんです。今この瞬間も島の状況はどんどん変わっていくし、「今」できることを全力でやった先にしか、描く未来は見えてこないと思うんです。

 

 

・・・とまあ、ここまで散々、堅苦しいことを語ってきましたが、実際に今やりたいこととしてはもっとシンプルで、まずは島出身の頑張っている若者が言葉を伝え合うためのコミュニティ運営や、このポータルサイトなどのメディアの運営、定期的な講座やイベントの開催をしていこうと思っています。

 

あんまり真面目すぎると自分たちも楽しくなくなっちゃうし、続かないだろうから。まずは肩の力を抜いて、自分たちが面白がって取り組めることを、1つずつ形にしていきたい。

 

そしてそのために、一緒にヒト大を盛り上げてくれる仲間も、大募集しています!

 

具体的に言うと、インタビュー記事やコラム記事の執筆をしてくれるライターさん、写真を撮ってくれるカメラマンさん、映像・イラストなどを通して伝えたい内容を発信してくれるクリエイターさん、共にwebコンテンツを作ったりオンライン・オフライン問わずイベントの企画運営をサポートしてくれるメンバーなど、島を想う気持ちを表現したいヒトみんなに、気軽にこの場を活用してもらえたらいいなと思っています。

 

今、ヒト大で取材したいと思っている人が物凄く沢山いて(それほどに八重山出身の活躍してる若者は沢山いる!)、発信したい素敵な活動も、掘り下げたい地域課題も、沢山あるので、「八重山が好き」「場づくりが好き」「言葉を使って表現するのが好き」「写真やデザインが好き」「何か関わってみたい」と思ってくれた方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

 

 

まだまだ始まったばかりの活動で、出来ることも小さく、ペースもゆっくりですが、仲間が1人増えるたびに、出来ることの幅はどんどん広がっていくと思うから。

 

息長く活動していった先に、愉快な仲間が沢山できている未来を、思い描いています。八重山ヒト大学、どうぞ末長く、見守っていてください。

 

( 読んでみて面白いと思う記事があったら、SNSなどでシェアして頂けるととっても嬉しいです。)

 

 

これを読んでいるあなたも、八重山の今と未来に、コメントだけではなく、コミットを。

 

 

 Text by 前盛よもぎ Photo by いけむらたかし

 

 

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舞台の上のあの感動を超える「何か」を、私はずっと探し求めていたんだ。

この記事を書いた人
前盛 よもぎ ( Maemori Yomogi )
石垣市野底村出身。早稲田大学在学中に、地域づくり・教育について現場で学ぼうと 岐阜県白川村に移住。対話やコミュニティ形成に興味があります。仲間と何かを作り上げている時間が最高に幸せです。踊ることと、プリンと、お味噌汁が好き。2020年に帰島。1995年6月生まれ。
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