A place to call home. ここは私の「心の拠り所」 白保村で地域づくりの仕事をしている、吉田礼さん。

 

石垣島よりこんにちは。八重山ヒト大学の金嶺葉月かなみねはづきです。

 

最近、国内外問わず、様々なバックグラウンドを持った人たちが八重山に移り住んできているようです。

 

旅行で来て気に入ってそのまま移住を決めた人、八重山の豊かな自然や文化に惹きつけられた人、子育てのためにこの場を選んだ人。

 

 

今回取材した吉田礼よしだあやさんもその一人。

 

彼女は現在、石垣島・白保にあるNPO法人で地域づくりの仕事に携わっています。

 

 

礼さんとの出会いは私が東京から島に引き上げてきた頃。

 

 

私の地元である白保村の先輩が、

 

「東京から来た英語ペラペラの姉さんがいるさ~

してよ、葉月と雰囲気が似てるわけよ~会わせたいさ~」

 

と紹介してくれたのがきっかけでした。

 

 

実際にお会いしてすぐに意気投合し、休日に二人でよく出掛けるようになりました。

今ではお互いに悩み相談をする仲に。

 

よくわからないポーズ

 

 

彼女のおおらかで温かい人柄は、一緒にいてどこか「ほっ」とするような…

同じ石垣島出身と言われても不思議ではない程に地域に溶け込んでいます。

 

 

幼少期から海外生活を経験し、英語が堪能でグローバルな視野をお持ちの礼さん。

 

そんな彼女がなぜ石垣に来たのか、どのような思いで日々を過ごしているのか、お話を伺ってきました。

 

 

また、今回の記事は話の所々に英語が入っています。

実際にお話の途中で耳にした英語のフレーズや表現をストレートに伝えるため、あえて英語表記にしました。

 

 

その部分にも注目して読んでみてください。

(日本語訳も併せて書いてありますが、読みやすいように意訳でまとめています)

 

 

―はじめに、礼さんの生い立ちについて簡単に教えてください。

 

生まれは神奈川県なんだけど、4歳の時に父の仕事の関係でシンガポールに引っ越したの。

そこでは家族と一緒に2年半くらい暮らしてたかな。

 

そのあと帰国して、6歳から14歳まで東京に住んでた。

だけどずっとインターナショナルスクールに通ってて、その後もスイスの高校に進学したから、いわゆる日本の学校で教育を受けたのは大学が初めてだったの。

 

大学も4年間ずっと日本にいたわけではなくて、1年間はスウェーデンに留学してたよ。

そして卒業後は都内の企業に就職して、5年くらい働いてました。

 

 

 

―幼少期から様々な国や環境に身を置いてきたわけですね。なぜ石垣に来たのか、教えてください。

 

「これからどうするか?」悩み始めた会社員時代

 

大学卒業後は就職して会社員として働いてたんだけど、何年か働いているうちに

「なんか違うことに挑戦してみたいな…」と思うようになって。

 

仕事で学ぶことは多かったけど、

自分の時間を費やしたいものではなかったし、勤務時間も結構長かったからさ。

 

こんなんでいいのかなって。

ずっとこれをやっていくのかなって考えたときに、なんか違うなと思って。

 

だから自分で興味を持てるもののために働きたいなと思うようになったんだ。

 

 

それから色々仕事を探してたんだけど、ピンとくるものがなくてね。

 

その時に偶然、Facebookで石垣の「地域おこし協力隊」の募集を見かけたの。

 

実は大学生の時にインターンシップで石垣島に来たことがあってね。

白保のサンゴ村に一ヶ月半くらいいたの。

 

当時お世話になった職員がその募集について投稿しててさ、

それを見た時にすぐ「あ!面白そう!」って思って。

 

他の求人情報も色々調べてて、いくつか応募するか悩んでたんだけど、

 

その仕事に興味が湧いて、案外すんなり応募しちゃってた(笑)

 

 

―地域おこし協力隊として、普段どういうことをしているんですか?

 

白保のサンゴ村に事務所がある「NPO法人夏花」の活動に一緒に加わって、様々な業務に携わってるよ。

 

主な仕事は、グリーンベルトで植えた月桃を使った商品の開発・販売。

その売上が、夏花がやっている「環境保全・地域づくり・文化継承」の活動資金になるの。

 

 

前の会社にいた時、

私の仕事が社会にとって必要な役割だってことはわかってたけど、

それは大きな組織の中のほんの一部の、小さな部分で。

 

だからいまいち「社会に貢献している」とか「自分が役立ってる」って実感が湧かなくて、夢中になれなかった。

でも、今の仕事は自分がやったことがそのまま形になるのが面白い。

 

商品の販路拡大も未経験だったし、最初はすごい大変だった。

全部自分でやらないといけないことが多いけど、でもある意味、組織が小さいからこそなんでもできる。

やりがいがある」ってこういうことなのかなって。

 

プライベートも地域密着型

白保青年会のメンバーと

 

―礼さんが青年会に入ってるのは知ってるのですが、入るきっかけは何でしたか?

誰かが「一緒にやろうよ~!」って声かけてきたとか?

※石垣島には各地域に、20~30代の青年男女が組織する「青年会」団体がある。

 

そうそう、それがきっかけだったかな。

青年会のメンバー数人に誘ってもらって、何度か集まりに顔出して、

そしたらそのまま入ることになって(笑)

 

メンバーは全員が白保出身だから、

私が行ってもいいのかな…周りはどう思うのかな?って本当は不安だった。

 

参加するようになって最初の数か月は、

一部のメンバーが「あの人誰?」みたいな感じで、すごい私の様子を窺っててさ。

ちょっと距離があるというか。

 

でも、次第に皆が私を受け入れてくれてさ。

照れくさくてあまり言ってないけど、とても嬉しかったんだ。

 

 

 

 

私は仕事でもプライベートでも白保に関わってるから、白保のことしかわからないんだけど、

ここの人たちは地域のことをすごく真剣に考えているなって思うの。

 

 

地域行事の時もそうだし、例えば豊年祭とか獅子舞の練習とか、

みんなしっかりプライドを持ってやってるなぁって感じるんだよね。

 

プライベートではふざけてばっかりの人でも、そういう時は真剣にやっていて、顔つきが別人みたいで。

 

 

「どうしたら地域がもっと良くなるか?」

「守りたいものを守り続けていくためにどうしたらいいのか?」

 

そういうことを考えて、それを行動に移している人たちがたくさんいるなっていうのを思って。

それがまた、島内・島外関係なく色んな人たちを惹きつける要因なのかな。

 

あと、こっちに来てから、自分自身のアイデンティティーについてリンクする部分があるというか、なんともいえない心地良さみたいなものを感じるの。

 

―その部分についてもっと詳しく教えてください!

 

Where do I belong? 自分のアイデンティティについて考えさせられた

 

 

6歳から都内のインターナショナルスクールに通ってたからさ、普段友達と話す時は英語だったんだ。

だから電車に乗ってたら、毎回周りの人からジロジロ見られてて…。

 

I didn’t feel like I was part of thcommunity, or that I belonged.

 

(私はこのコミュニティーの一員ではないんだな、とか私の居場所ではないと感じるようになってね。)

 

トータルで見たら日本にいる期間が長いんだけど、でもいまいち属してるって感覚はなかったの。

 

 

I was just thinking about this a little while ago …

I’ve only been here two years but it actually feels like home.

 

(ちょうど少し前に思ったことなんだけどね…ここに2年しかいないのに、まるで私の故郷のように感じてるんだ。

 

上手く答えられないんだけど、ここにいるだけで心が落ち着くというか。

 

「出身はどこ?」って聞かれたときに、はっきり答えられなくって

悩んでしまう時もあったけど。

 

今まで色々な国をはしごして生活してきた私にとって

「心から落ち着ける場所」があるって、本当に素敵なことだなって思うんだ。

 

自分で選んで、決めて来た場所をそういう風に思えるのって、とっても幸せだよね。

 

 

島にいるからこそチャンスは無限大

 

―礼さんが石垣に来てから日々感じていることや、島の人たちに伝えたいことはありますか。

 

It’s small here compared to big cities like Tokyo, so some people say that there are fewer opportunities, but I think here there are more chances for each person to contribute and make a difference.

 

(石垣は東京みたいな都会に比べたら小さいし、色んな可能性が少ないとか言われることが多いかもしれないけど、だけど小さいからこそ、ここで一人ひとりが貢献出来ること、活躍できるチャンスがあると思うんだ。)

 

 

東京だったら何千人、何万人の中に埋もれてしまうところ、

石垣にいたらそれを活かす場を作りやすいというか。

 

視点をちょっと変えると、「小さいからこそできる」っていうのは感じる。

 

 

I don’t think that living on the island means less opportunities.

 

(だから島にいるからといって、チャンスが少ないとかチャンスに恵まれてないってことではないと思う。)

 

 

 

―礼さんが選択に迷ったときに大事にしてるキーワードや言葉があれば教えてください。

 

いつも選択に悩んだときは

 

20 years from now you’ll be more disappointed

by the things you didn’t do than by the ones you did do.

 

今から20年後、やったことよりもやらなかったことにもっと後悔するだろう。)

 

 

っていう言葉を自分に言い聞かせるの。

 

 

I also feel I should always push myself beyond my “comfort zone”.

Looking back later I don’t want to think, oh I wish I had tried harder, or done something differently.

 

(あとね、いつも自分の「コンフォートゾーン」を越えていかなきゃって思ってて。あとから振り返ってもっと頑張っとけばよかった、とかもっとやっとけばよかったって思いたくないから。)

 

※コンフォートゾーンとは、居心地の良い場所や環境のこと

 

 

実は地域おこし協力隊の期間が2年半って決まってて、その任期がもうすぐ終わるから、今後どうするか今真剣に考えてるの。

 

その言葉を自分に言い聞かせながら、今後の大事な選択について考えてる。

 

 

 

 

―最後に、島の後輩たちへのメッセージをお願いします。

 

 

自分自身にも言いたいことなんだけど、

 

“Be proud of your background and culture, with modesty, and stay curious.”

 

(自分の生い立ちや文化に謙虚な誇りを持って、様々なことに好奇心を寄せること。)

 

Be proud because one thing I felt when I was in Switzerland during high school was that I was often asked about Japan, but often times I couldn’t answer the questions.

 

(誇りを持ってほしいのは、私がスイスでよく日本のことについて聞かれた時にちゃんと答えられなかった経験があるから。自国や出身地の文化について知っておくことの大切さを実感したんだよね。)

 

日本のことを全然わかってなくって、それがきっかけで大学は日本の学校を出ようと思った。

 

特に今の時代さ、globalization で色んな人たちと関わるようになってるでしょ。

 

それぞれの人が自国や出身地のことをちゃんと伝えきれなかったら、

面白さが半減するというか…。

 

お互いの故郷について知れる、素晴らしい機会になるはずだし、

それが出来なかったら本当にもったいないと思うの。

 

 

With stay curious, I mean stay curious to learn about other people, places and ideas.

By learning about new ideas, I think you can better understand other people too.

 

(好奇心を寄せるっていうのは、様々な人たち、場所、考え方に好奇心を持ってほしいっていう意味。

新しい考え方を学ぶことで、他の人をより理解できるようになると思うの。)

 

 

あと、故郷に誇りを持ちつつも「謙虚」な姿勢を忘れないでほしいな。

 

I think people here have a lot to be proud about – the environment, nature, culture and lifestyle.

You should be proud, but at the same time still be open to other cultures and ideas.

 

(島の人たちには誇れるものがたくさんあると思うの、例えば環境、自然、文化、ライフスタイルとかね。

そういうものに誇りを持つと同時に、他の文化や考え方にも目を向けてほしい。)

 

 

 

―礼さん、とても素敵なメッセージありがとうございます。

 

 

自分で決めて移り住んだこの場所を、本当の「故郷」のように感じていると語っていた礼さん。

移住する前も、来てからも様々な不安や葛藤があったかと思います。

 

慣れない土地であっても彼女が前向きに進んでいけるのは、

大きな選択の時々で、「自分で考えて決める」ことの大切さを知っているからなのではないでしょうか。

 

 

そしてお話の途中で時々見せる、くしゃっとしたキュートな笑顔。

 

地域のコミュニティーに上手く溶け込めているのも、きっと礼さんの温和でおおらかな人柄と、その素敵な笑顔のおかげなんだろうなぁ…と。

 

 

 

20 years from now you’ll be more disappointed

by the things you didn’t do than by the ones you did do.

 

(今から20年後、やったことよりもやらなかったことにもっと後悔するだろう。)

 

 

一生一度きりの自分の人生。

 

後悔を残さないためにも、「今本当に自分がやりたいことは何なのか」、改めて自分自身に問いただしてみませんか。

 

私も人生の節目や大事な選択の時にその言葉を思い出そう。

 

 

 

Text by 金嶺葉月 Photo by 橋爪千花


 

吉田 礼よしだ あやさん

年齢|28歳(1990年生まれ)

好きな映画| My fair lady

好きな食べ物|りんご

島で好きな場所|白保の浜辺

この記事を書いた人
金嶺 葉月 ( Kanamine Hazuki )
石垣市白保出身。獨協大学卒。在学中カリフォルニア大学デービス校に一年間交換留学。一般企業に就職し、その後石垣島にUターン。島の青年農家とのコラボレーション企画を立ち上げ中。大好物は納豆。1992年8月生まれ。
トップへ